プレキャストウエブを用いた橋梁は,古くはPCの父フレシネーが,1946年に建造した,支間55 mの PC橋Luzancy橋がある。また続いて1948年から1950年には,Marne5橋と呼ばれる支間75mのEsbly橋・Annet橋・Trilbardou橋・Changis橋・Ussy橋を完成させていて,これらの橋梁は80年近く経過した現在でも供用されています。
また日本においては,新名神高速道路・錐ヶ瀧橋(2007年)、東名高速道路(改築)・中新田高架橋(2008年),鶴舞若狭自動車道・本所川橋(2010年),東名高速道路(改築)・中野高架橋(2011年)の4橋が建設されました。
プレテンション・プレキャストウエブ橋研究会が2004年に設立され今年で20年目を迎えます。この間に本研究会の活動は,各施工方法による試設計の実施,プレテンション・プレキャストウエブ橋に関するQ&Aの作成,技術講習会の開催などを行なってきました。また,最近の活動としては,建設コンサルタンツ協会と4協会(カンチレバー技術研究会・PC押出し工法協会・波形鋼鈑ウェブ合成構造研究会・本研究会)の技術懇談会を開催して,プレテンション・プレキャストウエブ橋の普及に努めています。
近年の建設業界の動向としては,長時間労働や人手不足といった建設業界が抱えるさまざまな課題を解決する取り組みとして,新3K(「給料が良い」,「休暇が取れる」,「希望が持てる」)の実現,そのキーワードの1つとして『生産性向上』を挙げ,新しい技術やデジタル技術の導入による業務の効率化や生産性の向上などが進められています。プレテンション・プレキャストウエブ橋は,ウェブをプレテンション・プレキャスト部材とすることで,軽量化による構造上の合理化,現場施工の省力化,品質の向上などの生産性を向上させる工法となります。また,最近の本研究会の研究としては,さらなる省力化を目指し,ウェブ以外の上床版および下床版もプレキャスト部材とするフルプレキャスト化の実現に向け接合部の検討等を行なっています。
生産性向上についてはプレキャスト化の推進が重要であるという認識のもと,本工法の普及に努めていきます。
2024年7月
プレテンション・プレキャストウエブ橋研究会
会長 松井 敏二
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